【日本三大霊場】比叡山延暦寺にお参りしようぜ
比叡山延暦寺は、京都府と滋賀県にまたがる比叡山の山麓にある日本三大霊場の1つである。ちなみにあとの2つは和歌山県の高野山、青森県の恐山である。
僕は日本三大○○を見て回っているが、素晴らしいことに、霊場に関してはその全てをこの目で見たことになる。
延暦寺は、古都京都の文化財として世界遺産にも登録されているが、住所は滋賀県大津市にある。僕はこの、神聖にして歴史深い名刹を訪れたいと前々から思っていた。
比叡山は平安時代に最澄上人がここに天台宗を開いて以来の歴史を持ち、天台宗の総本山として今にあり続けている。
また、名だたる高僧がこの寺で修行したことで知られており、有名なのは、浄土宗の開祖法然上人、臨済宗の開祖栄西上人、曹洞宗の開祖道元上人、浄土真宗の開祖親鸞上人、日蓮宗の開祖日蓮上人などがある。
延暦寺の貫主は天台座主とも呼ばれ、天台宗の寺院全体を統括する。室町時代には護良親王や足利義教が将軍職に就いているが、彼らは天台座主を経験したのちに還俗した高僧でもある。
中世以降は武装化し、当時の武家政権と対立した。織田信長の比叡山焼き討ちは有名である。
ちなみに本尊は薬師如来である。
比叡山延暦寺への行き方
比叡山へのアクセスは、最も便利なのは京阪バスと京都バスが運行している比叡山ドライブバスである。京都駅、四条河原町、三条などの京都市内交通の要衝からの便が発着しているので、是非利用してほしい。
https://www.keihanbus.jp/pdf/kks/local/local_hieizan_bus_2018.pdf
また、鉄道で行く場合、京都市北部を走る叡山電鉄の八瀬駅から向かう方法と、京阪石山坂本線の坂本比叡山口駅から向かう方法の2パターンがある。どちらもケーブルカーやロープウェイを乗り継いで登っていく。
京阪石山坂本線・坂本比叡山口駅からのアクセス
京都駅から大津京駅まで湖西線で移動し、大津京駅で京阪石山坂本線に乗り換えて坂本比叡山口駅まで向かうルートである。
坂本駅からは上り坂の参道を登っていく。この参道は、日吉神社への参道も兼ねている。
上り坂が少々きつい。
途中には日吉大社がある。
日吉大社の大権現は猿らしい。
近くには日吉東照宮がある。これは徳川家康を祀った神社であり、関西の日光と称されているほど豪華な社殿を設けている。時間がなかったので門だけ撮影。中に入るのは有料である(300円)。
ちなみに、ここまできたらもうちょっと登ってみよう!みたい看板がところどころに出ていて、それに従って軽い気持ちで登っていくと、結構疲れる上に入ると入場料をとられるというしくみになっている。
そんなことしなくとも、もっとがっつり「日光in関西」みたいな宣伝すれば、疲れるとか有料とか考えないでお金を喜んで払う人もあるだろうに。
赤と黒を基調としたおしゃれなケーブルカーに乗る。
ケーブルカーは比叡山の山林を登っていく。このケーブルカーは長さが2200mもあり、営業距離としては日本最長を誇る。
坂本ケーブルの終点であるケーブル延暦寺駅。晴れていれば、ここから琵琶湖の眺望が開けるのだが、この日は完全に曇っており何も見えなかった。
叡山電鉄・八瀬比叡山口駅からのアクセス
京阪鴨東線の出町柳駅を経由して、宝ヶ池駅で叡山電鉄本線に乗り換え、八瀬比叡山口駅に向かうルートである。
ちなみに宝ヶ池のもう1つの乗り換え線である鞍馬線に乗ると、天狗の伝説で有名な鞍馬寺や貴船神社方面に行くことができる。
八瀬駅。右から書くのと、旧字体の「驛」の字が趣深い。
高野川のせせらぎを渡って、ケーブルカーの駅に向かう。
八瀬からは、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで登っていく。ただしロープウェイは冬期運休するようなので、冬期に比叡山を訪れる場合は、バスか、滋賀県側の坂本方面から登ることになる。
ロープウェイの駅舎はコンクリート造りの廃墟のようではあるが、きちんと営業している。
フリーパスを買っておこう
バスやケーブルカー、ロープウェイなど、複数の交通機関を利用せざるをえないため、それぞれの移動にお金を払うとそれなりに大きな金額になってしまうだろう。比叡山を観光するなら、京阪電車や京都バスが発売しているフリーパス「比叡山延暦寺巡拝チケット」などを入手しておいたほうがよい。
比叡山の歩き方
比叡山は東塔、西塔、横河の3つのエリアに大きく分かれており、それぞれのエリアを結ぶ比叡山シャトルバスが運行されている。
https://www.keihanbus.jp/pdf/kks/local/local_hieizan_bus_2018.pdf
各エリアを効率よく周遊するために、比叡山シャトルバスのフリーパスを買っておくのがおすすめである。
バスターミナルには、「登叡成佛」の石碑がある。比叡山に登れば菩薩になれるということか。
東塔
いよいよここから比叡山の境内に入っていく。東塔は、坂本側から入山する場合に最も近いエリアである。
国宝の根本中堂。「中堂」とは、比叡山における中心的な仏堂のことであり、東塔、西塔、横川それぞれにある。東塔の根本中堂は、江戸幕府3代将軍である徳川家光公の命で1642年に建てられたものである。内部には薬師如来が本尊として安置されており、その前には1200年にも渡って消えたことのない「不滅の法灯」が輝いている。
根本中堂の石碑も立派なものだ。
鐘楼。参詣者も鐘を撞くことができる。1撞き50円。
僕は50円玉を持っていなかったので、100円で2撞き。天下の霊場に、自分の手で鳴らした鐘の音が響き渡るのは、悪くない感じがする。
戒壇院。修行僧になるための戒律を授けるための建物で、修行僧にとっては重要な場所である。
戒壇院に祈りを捧げる修行僧たち。
法華総持院東塔。多宝塔形式の塔頭で、東塔エリアにおいて最も重要なものである。現在の建物は昭和55年に復元したもので、内部には大日如来などが安置されている。
阿弥陀堂。その名の通り阿弥陀如来を本尊とする。回廊を隔てて東塔とつながっている。
大講堂。内部には大日如来があり、また天台宗に縁のある高僧の肖像画も保管されている。
西塔
西塔エリアは東塔エリアから歩いて20分ほどで行けるエリアである。
釈迦仏像。
釈迦堂。正式には転法輪堂といい、西塔の本堂である。延暦寺内においては最も古い建物で、1595年に豊臣秀吉が別の寺院から移築したものらしい。
親鸞聖人も修行されたという。
常行堂(左)と法華堂。2つの堂が渡り廊下でつながっている非常に珍しい構造をしている。2堂をあわせて「にない堂」ともいう。
横川
横川エリアは、東塔エリアからだと徒歩100分はかかるため、バスで向かうのが一般的出る。
横川中堂へ登る階段の前には、竜を封印したという伝承がある竜ヶ池がある。
横川中堂の全景。
横川中堂を正面から撮影する。
この比叡山延暦寺横川は、知る人ぞ知る、おみくじ発祥の地でもある。
元三大師堂。この地で「おみくじ」が誕生したとされている。
ご存知の通り、おみくじは漢字で書くと「御神籤」であるのだが、ここには「神」の字が当てられている。仏教において四天王などの仏法における守護神的な役割の存在はあるが、唯一神または八百万神としての神は存在しない。
僕が思うに、おみくじを発明した元三慈恵大師良源は10世紀頃の人物なので、この時期においても神仏習合は進んでいたのだろう。
太平洋戦争戦没者慰霊碑もエリア内にある。
延暦寺は、あらゆる意味で日本の仏教史上、そして中世から近世にかけての日本史そのものを語る上で大変重要な寺院である。国宝や宝物も数多く、また多くの建物が現存している。このような由緒正しく歴史の深い寺院を見逃すわけにはいかない。
駆け足にはなるだろうが、時間をうまく使えば鞍馬寺まで足を伸ばすのもいいかもしれない。