とある喪男の雑記ブログ

喪男とはモテない男のことです。寝ることと知的ぶることが好きな、意識低い系喪男の雑記ブログ。流されることなく、流れるように、ゴミみたいな人生を、頑張らないで生きていく。全体的に低スペック。絶食系男子。鉄オタ。飛行機オタ。城址仏閣好き。

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三途の川を渡って恐山の地獄を巡るの楽しすぎるぞ

不思議な力に呼ばれた気がした

読者諸君は、恐山という場所に行ったことがあるだろうか。それは青森県下北半島の角部分にあり、日本三大霊場の一つに数えられる名刹である。名刹、つまり寺なのである。正式名称を恐山菩提寺という。宗派は曹洞宗

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僕がなぜこの本州の北の果てまで行く気になったのか。僕はいわゆる「見える」人ではないのだが、ある日突然、何かが僕に、恐山に来いと言ってきているような、そして当然に僕は恐山に行かなければならないような、そんな感覚を覚えた。それが誰だったのか、何だったかは未だに分からぬ。

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恐山一帯は今なお活動を続けている活火山であり、その中心にある宇曽利湖は昔の噴火口に水が貯まってできた火山性カルデラ湖である。現在でもいたるところで火山性ガスが噴出しており、その高濃度の火山性ガス(主に硫化水素)と、それが溶け込んだ強酸性の湖は、プランクトンや微生物も含め、動植物の存在を許さない。そのため宇曽利湖は、結晶化した硫黄の黄色と、透明度の高い(青空を反映させた)青色とのコントラストが非常に美しい湖なのだ。

僕はすぐに会社の休みを調整し、導かれるように恐山へと向かった。東京駅から夜行高速バスで10時間。午前8時過ぎに、青森駅前に到着した。あぁこれが寝台特急あけぼのであったならば、さらに風情があったことだろう。

恐山への行き方

恐山へ行く方法は、公共交通機関を使い電車とバスを乗り継ぐ方法と、レンタカーで行く方法がある。
推奨するのはレンタカーだ。何しろ地方路線なので、電車・バスともに本数が少なく、一本逃すと一気に行程が狂ってしまう。

なお、公共交通機関で向かう場合、滞在時間を最も長く取れそうな行き方は、次のタイムテーブルである。
6:53 青森駅発(青い森鉄道・八戸行)
7:39 野辺地(のへじ)着
8:04 野辺地発(JR東日本大湊線・大湊行)
9:00 下北着
9:10 下北交通バス恐山線
9:53 恐山着

または

9:29 青森駅発(青い森鉄道・八戸行)
10:13 野辺地(のへじ)着
10:22 野辺地発(JR東日本大湊線・快速しもきた大湊行)
11:07 下北着
11:15 下北交通バス恐山線
11:58 恐山着

交通費の片道は、鉄道2,180円+バス800円=2,980円となる。

いずれのパターンも、下北駅でのバス乗り換えに余り時間の余裕がない。大湊線の写真を撮ったりして、時間を浪費しないようにしよう。僕はそれで恐山行きのバスを逃しそうになったことがある

ちなみに、恐山方面にはJR東日本が販売しているフリーパス「あおもりホリデーパス」がある。これを使えば、少なくとも電車賃が約半分で済むので、有効期間内に訪れるのであればぜひ活用してもらいたい。青森発、新青森発、八戸発いずれも利用可能だ。

青森県東部のフリーきっぷ・1日乗車券&乗り放題きっぷ・・・フリーきっぷの「旅処」たびどこ

とは言いつつ、僕は乗り鉄でもあるので、レンタカーで向かうという選択肢はなかった。電車は1時間に1本程度しかない。それまではのんびり駅撮りを楽しむことにした。

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青い森鉄道701系に乗り、野辺地を目指す。

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野辺地からは2両編成のキハ100系に乗り換える。

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野辺地から大湊線に乗る場合は、進行方向右側の席に座ると良い。天気が良ければ、陸奥湾とその向こうの津軽半島がよく見える。

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列車は下北半島の草原を駆け抜ける。

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下北駅を出発した大湊線キハ100系。僕はこの写真を撮ったがために、バスに乗り遅れそうになった。

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下北駅が恐山への玄関口となる。なお下北駅は、本州最北の駅でもある。

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恐山行きのバス。下北交通が運行する。赤い文字の「霊場」がおどろおどろしい。

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恐山からバスで下山する時は、この看板がバス停の目印となる。バスは1日4~5本しかないので、帰りの時刻表を確認しておこう。

三途の川を渡ってあの世へ行こう

恐山を楽しむには、実は降りるバス停に一工夫必要である。具体的には、終点の恐山で降りるのではなく、手前の「太鼓橋」バス停で降りるのがよい。理由は、恐山の由来(というほどでもないのだが)にある。

恐山は(今でも)あの世への入り口と呼ばれており、「死んだら山へいく」という言い伝えがある。つまりあの世とこの世の境目がそこにあるということだ。そしてそれこそが「太鼓橋」及びその手前に流れている「三途の川」なのである。

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三途の川の向こうはあの世である。太鼓橋バス停で止まらない限り、バスは素通りしてしまう。せっかくなのだからきちんと三途の川を自分の足で渡って、あの世探検の第一歩としようじゃないか。

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太鼓橋を横から眺める。奥は宇曽利湖、左の小高い山が、恐山最高峰の釜臥山(878m)である。

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三途の川の傍らに待機している奪衣婆と懸衣翁がいる。

三途の川を渡るには六文銭が必要であるが、六文銭を持っていない亡者は、奪衣婆(写真左)に服を剥ぎ取られ、懸衣翁(同右)がそれを傍らの木に引っ掛けて、その重さで罪の軽重を測る。僕は悪いことはしていないので、お賽銭をして三途の川を渡らせてもらった。

無事三途の川を渡ったら、いよいよそこはあの世である。

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六体の巨大な地蔵菩薩が訪問者を出迎える。入山料は500円である。

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参道を歩く、いわゆる「硫黄の匂い」がツンと鼻をつく。

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山門。ここから先が恐山となる。この先は大小の石がゴロゴロしており、またアップダウンもあるので少々歩きづらい。履きなれた靴で歩くようにしよう。ヒールの高い靴やサンダルは推奨しない。

あの世は地獄だらけ

恐山には石が小山のように積み上がった場所や、あるいはそこから火山ガスが噴出している箇所が複数あり、「地獄」の名をつけられている。

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どうや地獄…って何だろ。どやっ

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修羅王地獄の周りは「危険」の看板があり、ロープで立入禁止となっている。もうネーミングが怖い

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恐ろしい名前の重罪地獄。罪を犯すとこんな恐ろしい場所に送られるのか。

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金堀地獄の穴からは、高熱の火山ガスが吹き出しており、硫黄が析出している。名前からして硫黄か金の鉱山みたいな。

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血の池地獄とは恐ろしい名前だが、赤くない。ただの緑がかった池であった。

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無間地獄とかもうホント地獄感パない。一番深い地獄の名をつけられるとかもうホント地獄。

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地獄の中に仏あり

地獄に仏があるのは、衆生を救って極楽に導くためである。恐山では多くの仏様が亡者を導き、参拝者を見守ってくれている。

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五智如来像は、胎内くぐりを進んだ小高いところにある。

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無縁仏も。これまでどれだけの孤独死を迎えた人が、ここにたどり着いたのだろうか。

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恐山はイタコで有名なだけではなく、水子供養としても有名である。風車がいたるところに備えてあるのは、生まれてくることのなかった幼すぎる命と、幼くして命を落とした子供を慰めるためだ。風が吹くたび、キィキィと泣くような音をたてる風車。そしておそらく賽の河原で父母のために一つ一つ積まれたであろう小石の山。僕の心は折れそうになる。

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僕は合掌しながら歩いていた。合掌せずにはいられなかった。生きたかったのに生きられなかった命に対して、相対する方法をあまり僕は知らなかったので、そうするしかできなかったのだ。

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歩きを進めていくと、あの有名な三途の川のほとり「賽の河原」が現れる。ここは石はあまりないが、言い伝えでは、親よりも早く亡くなった子供が、ひたすらに石を積み、積み上がると地獄の鬼にそれを叩き壊され、また石を積む、という責め苦が与えられるという。

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さらに歩みを進めると、宇曽利湖畔にたどり着く。先程の小石と火山ガスの世界に、突然現れた海のような景色は、まさに地獄の中に極楽の世界を見たということだろう。しかしそこにも生き物の気配はまるでない。何もないのが美しいということだろうか。

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もはやこの賽の河原に僕以外に人はなく、鳥の声も聞こえない。宇曽利湖の小さな波音と、風に吹かれて回り続ける風車のキィキィという、子どもの泣き声に似た音だけが、僕を包んでいた。ああ、僕は独りだ。けれども何て心が軽やかな独りであるだろう!

恐山の全景

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この「地蔵堂」の傍らを歩いていくと、小高い場所に出ることができ、恐山の全景を一望できる。やはりここには、生き物の気配はまるでない。日本三大霊場の中でも、修験場としての比叡山、山林の中に供養塔が集まる高野山に比べて、明らかに「生」の感じがしない。

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こんなにも荒涼たる場所で、なんという寂寥感を感じているのだろう。今この場にいる限り、生きているのは僕一人で、ほかにいるとすれば、石を積まなければならない子供たちだけに違いなかった。

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歩き回っている僕にすら、「生」がないのではないかとすら思えてくる。僕はもはや人間ではなくなった人間たちに問い、語りたかった。人はなぜ生き、なぜ死ぬのか。そして僕はひとりで生き、ひとりで死んでいっても良いのであろうか。

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記念碑や卒塔婆も多く立ち並ぶ。こちらは東日本大震災の慰霊碑。彫られている手形は震災の犠牲者のものである。僕の手と合わせると、同じか、それよりも小さな手もあった。子供の手だ。僕はひたすらに、僕よりはるかに年下の人間が、ある日突然、脈絡も理由もなく命を落としてしまったという、残酷かつ平等な事実に向かい合おうとしていた。

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太平洋戦争の戦没者の慰霊碑。青森でも被害は大きく、青森空襲、青函連絡船空襲に遭ったり、また三沢飛行場から多くの特攻機が飛んだ。

恐山には温泉がある

実は恐山一帯は火山活動が活発な地域であり、境内内にも温泉が湧いている。

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男湯である薬師の湯。中には脱衣所と湯船しかない。湯の花が浮いた強力な酸性泉で、入ると強烈な硫黄の香り鼻を刺す。湯の温度も熱く、44度程度はあると思われる。浸かるのは3~10分程度にする旨書かれており、長湯は推奨されていない。無料なので、足湯でもいいので入ってみよう。歩き疲れた体も軽くなるに違いない。

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ポコポコと天然の温泉が湧いているところもある。

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いたるところにこのような小山があり、そこから火山ガスが噴き出している。火山ガスに含まれる硫黄分が、空気に触れて冷やされることにより、美しい黄色みのある針状の結晶が析出する。

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噴出口のアップ。10円玉をかざすとあっという間に酸化し、黒く変色する。指を突っ込むのは熱くてやけどするので、大変危険なのでやめておこう(経験者は語る)

霊場やあの世というおどろおどろしい雰囲気のみならず、温泉や火山ガスの噴出というジオパーク的な面白さもある恐山。おそらくここ以上に非日常を味わえる場所というのもあまりない。一人でもそれ以上でもきっと楽しいので、是非訪れてみてほしい。

そして僕は結局、なぜ恐山に行かなければならなかったのか。未だにそれはわからないままである。

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