ウィーンの美術史博物館へ、名画とミイラを見にいこう
ウィーン美術史博物館は、ウィーン中心街にあるホーフブルク王宮からブルクリング通りを挟んで反対側にある。同じ敷地内に自然史博物館があり、それとはマリア・テレジアの銅像を挟んでと相対する。ホーフブルク王宮から見ると、左手が美術史博物館、右手が自然史博物館である。
ウィーン美術史博物館には、ハプスブルク家に伝わる美術品や絵画などの財宝のほか、古代エジプトの発掘品やギリシア彫刻も収蔵されている。おそらくはハプスブルク家支配の時代に発掘されたり皇帝一家に献上されたもので、そういう意味で歴史博物館的な側面もある。
内装は豪華絢爛そのもので、壁や柱は全て装飾されており、天井にはフレスコ画が描かれている。それだけでも見る価値がありそうだ。
ドームの装飾も美しい。
ところで僕は、10年ほど前にエジプトの考古学博物館を訪れて、ラムセス2世のミイラやヒエログリフ石版などを見たことがある。今一度再訪を試みたいのだが、現地の政情的に、僕が生きている間に再訪することは叶わないだろう。
けれどもこの博物館に行けば、エジプトに行かずとも、安全に古代エジプトのミイラや棺などが見られる。それはとても魅力的だ。僕のような歴史オタは強く惹かれる。
古代エジプトの発掘品の展示
ヒエログリフが刻まれた石棺。優しげに笑みをたたえる顔も印象的だ。
木製の棺の中に、ミイラが眠る。
なぜかギリシア様式っぽい顔が彫られた棺。
ナイル川と、祭殿だったと思われるギザの3大ピラミッドの模型。
装飾の色が鮮やかに残る石の棺。
カノプスの壺。埋葬者の内臓を納めたといわれる。つまりこの中には内臓が……大丈夫だ、中身は見えない。
荘重な彫刻が施された棺。
ハプスブルク家の財宝
「美術史」の名の通り、ハプスブルク家に献上された金細工やガラス細工などの、様々な美術品や工芸品が展示されている。
黄金でできた箱時計。
黄金でできた地球儀。
黄金でできた燭台のセット。
精巧な装飾が施されたガラス細工。この複雑な形状を表現できた技術は見事だが、果たして用途は何なのだろうか。
こちらは鳥の形をしたガラス細工。飲料を持ち運ぶのに適した大きさ。
熊のような動物が銃を構えている。この作品で特徴的なのはこの銃の銃身の造形である。像の高さは10cm程度であり、それを考慮すると銃身の太さは1mm程度だろう。非常に精巧な作りである。当時の技術に驚かされる。
黄金の騎馬像。
黄金の機械時計だが、その文字盤には小さな宝石が散りばめられておりとても美しい。
有名画家の傑作
絵画においては、ブリューゲルの「バベルの塔」や「農家の婚礼」、フェルメールの「絵画芸術」、ファン・アイク兄弟やラファエロの傑作も展示されている。西洋絵画が趣味の人にとっては感動的だろう。
なお、当然ながら絵画は撮影禁止である。
絵画の展示がメインだが、エジプトの出土品や彫刻作品の数が多く、1日いても全く飽きない。欠点というのは、館内はとても広い上に休憩する場所があまりないので、歩きまわっているととても疲れてしまって、見終わる頃には展示品を味わう余裕がないということだろう。