ウィーンのシェーンブルン宮殿が美しいので絶対行きたい
オーストリアのバロック建築の最高傑作にして、ハプスブルク家最大の遺産。女帝マリア・テレジアが作らせた宮殿が、このシェーンブルン宮殿である。
竣工後からハプスブルク家の離宮として使用され、現在はハプスブルク家の栄華を今に伝える歴史的な遺産と扱われており、博物館として公開されている。また世界遺産にも登録されている。こちらをウィーン旅行の最大の目玉として訪れる人も多いだろう。
当然ながらウィーンの観光名所の中では一番人気であり、その一番人気の期待を外すことのない展示が並んでいる。そんな観光地が混み合わないわけがない。そうだ、シェーンブルン宮殿の魅力は、今更僕が説明するまでもない。読者諸賢なら僕よりも遥かにご存知のはずだ。
それよりも、どうしたらこの素晴らしい観光地を快適に観光できるかという、現地を訪れた僕ならではの、ちょっとした工夫をまとめてみよう。
朝早く起きる
は?何を当たり前のことを言ってるんだという声が聞こえてきたが、兎にも角にもこれである。これだけ混み合う観光地もあまりないと思う。ならば人がいない間に行ってしまえば良い。少し早起きすればいいだけだ。
ちなみに僕がチケットを購入したのは朝の8時頃、実際に入館できたのは8時半過ぎである。この時間帯で30分待ちという事実を考慮してほしい。8時は朝早いという人もあまりないだろう。前日の観光で疲れた人もちょっとだけ頑張ってほしい。そうでないともっと疲れることになるだろうから。
チケットは宮殿内で購入しよう
敷地内に入るとすぐ左手にチケットセンターという建物がある。
……のだが、これを華麗にスルーして、宮殿左側の入口を目指す。
この宮殿内部にもチケットの自動販売機があるのだが、こちらのほうが圧倒的に空いている。チケットを買うならこちらにするべきだ。
ついでに自動販売機の使い方もまとめてみた。シェーンブルン宮殿内は撮影禁止のため、このエントリにおいて読者諸君に伝えるべき情報が限られてきてしまう。
まずは言語を選ぶ。僕たち日本人にとっては英語がもっとも無難だろう。
「この券売機では、インペリアルツアーとグランドツアーのチケットを8人分まで買うことができます。」
「マエストロ(マスターカードが発行するデビッドカード)かクレジットカードしか使えません。チケットは換金できません」
この次の画面では、インペリアルツアーとグランドツアーを選択する。グランドツアーのほうが高額だが、モーツァルトがマリー・アントワネットに求婚したとされる鏡の間など、公開されている限りの全ての部屋を見て回ることができる。僕は15.9ユーロを支払い、グランドツアーを購入した。
人数を選ぶ。
クレジットカードで支払う。
入館可能時刻と待ち時間が表示され、「OK」を押すとチケットが発券される。早朝ならば待ち時間なし、昼過ぎになれば、たいへん待たされることになるだろう。
発見されたチケット。こちらをもって入館する。
入館に並ぶ観光客。8時過ぎにしてこの状況である。そしてここから先は撮影禁止である。不届きな中国人が写真撮影していたが。
日本語ガイドもレンタルすることができるので、必要な人はスタッフにお願いしよう。
シェーンブルン宮殿の庭園を歩こう
シェーンブルン宮殿を特徴づけているのは、上述の巨大なバロック様式の宮殿建築と、その敷地内に広がる広大な庭園である。
庭園側からシェーンブルン宮殿を望む。
シェーンブルン宮殿側から庭園を望む。植え込みの芝や花が美しい。時代は違えど、おそらくこれと同じ景色を、マリア・テレジアもフランツ・ヨーゼフ1世皇帝も眺めたことだろう。
写真の通り、奥の方はなだらかな丘になっており、その頂上には「グロリエッテ」という記念碑がそびえる。グロリエッテまでは少々坂道だが、登っていくことができる。
宮殿周辺を馬車で散歩することもできる。
「シェーンブルン」の名前は、Schön(=美しい)brunen(泉・噴水)から取られているという。
庭園内にある謎のオベリスク。
「ローマの廃墟」という建築物。あえて「廃墟」を新しく建設するという変わった趣味の建物だ。これを理解するには少々センスが問われる。
ネプチューンの噴水。
グロリエッテの近景。グロリエッテは、オーストリアが18世紀後半に戦った国際戦争であるオーストリア継承戦争(1740~48)と七年戦争(1754~63)の戦争記念碑である。
グロリエッテを背に、シェーンブルン宮殿とウィーン市街地を見渡す。おそらくウィーンで最も美しい景色だと思う。写真右側に映る謎の教会も趣がある。
シェーンブルン宮殿が世界遺産であり、また世界中から観光客を集める理由は、この宮殿がヨーロッパの国際政治を動かしてきたという歴史の重みによるものだろう。
ベルヴェデーレ宮殿もオペラ座もシュテファン大聖堂も、外から見るだけでも割と満足できるかもしれない。けれどもこのシェーンブルン宮殿は、是非入館料を払ってでも見てほしい。人混みさえなければ、それはまさに18世紀へのタイムスリップしたような錯覚さえ覚える。このとき最盛期を迎えたハプスブルク一族の絢爛たる暮らしぶりを、その身で感じることができるだろう。