ありがとう、さようなら。埼京線205系の思い出~最後205系・ハエ28編成~
2016年10月27日。埼京線では既にほぼ全ての運行がE233系によってなされる中、唯一それに混じって運用されていた205系ハエ28編成。
この日、とうとうその役目を終え、引退していった。
205系の思い出
埼京線の205系は、僕にとって思い出深い。大学受験のために池袋にある予備校に通っていた時、乗っていたのは205系だった。甲高いモーター音に包まれて、当時好きだった海援隊の「スタートライン」という曲を聞きながら往復したものである。103系と比べて軽快な走行音が好きだった。
僕にとって2社目となる会社は渋谷にあり、毎日のように通勤で埼京線に乗っていた。そして新鋭のE233系が配備される中、僕は205系が姿を消していくことを認識していた。けれども僕はその姿をほとんど撮影することがなかった。当時の僕は会社に急ぐことしかなく、立ち止まって撮影することを思いつかなかったのだ。たまたま205系に遭遇し、かつ僕に余裕があったところでその写真を撮っていたため、残っている写真はとても少なかった。
僕にとっては多少思い入れのある車両であっただけに、どうして時間を作って写真に収めておかなかったか、とても後悔している。
後継車両はE233系7000番台となる。
武蔵浦和駅に停車する205系ハエ32編成。この後、ジャカルタへ旅立つこととなった。
ところで、ハエ28編成と並んで最後まで活躍し続けたハエ32編成は、インドネシア・ジャカルタの鉄道会社ジャボタベックで引き続き活躍しているという。そこにはかつて武蔵野線で使用されていた103系が未だに海浜幕張行の方向幕を掲げて走り、また203系や東京メトロ6000系も走っているという。かつて日本で活躍した鉄道車両の動態保存博物館のようなものだろうか。機会があったら行ってみたい。