GSE投入によりLSEが引退へ
小田急電鉄は新型の70000形特急型電車「GSE」の営業運転を開始した。
GSEは「Graceful Super Express」を意味しており、その名の通り優雅な室内空間と走りを楽しめる設計になっている。
塗装は赤みがかった濃いめのオレンジ色となっており、その昔走っていた3000形ロマンスカー「SE」や3100形ロマンスカー「NSE」、そして7000形ロマンスカー「LSE」にも塗装された歴史ある色である。
また、これまでのロマンスカー車両と同じように車端部は全面ガラス張りのパノラマカーとなっており、箱根や江ノ島まで向かう鉄路の風景を楽しめる設計になっている。
その一方で、本形式の投入によりロマンスカーの役目を終了する車両型式がある。小田急7000形電車ことロマンスカー「LSE」である。
LSEの運用終了・引退の時期は、GSEの2編成目の投入タイミングによるというのがこれまでの状況だった。その後小田急電鉄は、7月にGSEの2編成目を投入すると正式に発表。これにより、LSEは運用終了・引退ということになる。
同編成を後ろから。
1980年に運用を開始されたLSEは、車体長が短い車両を11両連結して編成されており、またそれぞれの車輪の台車が各車両の車端部と連結している。そのためその走行音は、通常の電車の「ガタンゴトン、ガタンゴトン」というリズムではなく、「ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン」という変則的なリズムを奏でることも特徴である。
また先頭車の角度が旧来のNSEと比較してより鋭角になっており、シャープな印象を与えるものとなっている。
機器更新を受けて塗装が赤色に変更されたLSE。その後、上に掲載した当初の色に復元された。
LSEの引退は近い
4編成44両が製作されたLSEであるが、これまで残存し運用されていた1編成が既に2018年3月15日に廃車されている。これはGSEの営業運行開始に伴うものである。残る1編成は2018年度中の引退を予定しており、GSEの2編成目が投入されるのとタイミングを同じくして運用を終了するだろう。
これによって、弱め界磁抵抗制御の制御方式を採用するロマンスカーは全て姿を消すことになる。
LSEを撮影したり、乗ったりするにはどうすればいいか?小田急電鉄は素晴らしいことに、運用されるロマンスカーの車両型式をWebサイトで公開している。
時刻表の例。Eは30000形EXE、Mは60000形MSEを表す。
30000形EXE。歴代ロマンスカーとは異なり、通勤特急の取扱もあるため、展望車を有しない編成。そのため旅行者からは不評だったりする。
60000形MSE。こちらは地下鉄に乗り入れる運用が想定されているため、展望車を有しない。座席が深い上に窓が高いため、少々景色が見づらい設計でもある。
大きな展望車をもち、ロマンスカーのフラッグシップモデルである50000形VSE。各座席が5度窓側に傾いており展望性を高めていたり、ドーム型の半円状の天井を持ち室内空間がとても広く感じられたりと、快適な乗り心地が約束された傑作車両。
展望車を持つ形式については7000形LSE、50000形VSE、70000形GSEが運用される。それは日によって運行される形式が異なるようだが、少なくとも展望車のアイコンのある形式は、間違いなくLSE、VSE、GSEのいずれかである。運行本数的にはVSEの確率が最も高い。
もはや1編成しか残存していないLSEも、いよいよ引退の時期を迎える。