とある喪男の雑記ブログ

喪男とはモテない男のことです。寝ることと知的ぶることが好きな、意識低い系喪男の雑記ブログ。流されることなく、流れるように、ゴミみたいな人生を、頑張らないで生きていく。全体的に低スペック。絶食系男子。鉄オタ。飛行機オタ。城址仏閣好き。

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フィリピン・セブで飛行機の操縦体験しようぜ

パイロットになりたいと夢見たことはないだろうか。

僕の小学生の頃の夢は、パイロットになることだった。旅客機が轟音と猛スピードとともに空高く舞い上がる様を見るのが好きだった。いつしかその操縦席に座りたいと思うようになった。小学校の卒業文集にも将来の夢として書くくらいだった。

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セブへは、フィリピン航空傘下のLCCであるセブ・パシフィック航空による直行便が運行されている。

僕は視力が悪かったので、パイロットになる夢は早々に諦めることになった。それから20年。社会人として普段の仕事をこなしていた。その中で作成した「死ぬまでにやりたいことリスト」の中には、「飛行機を操縦する」という項目があった。

そんな中で、僕は飛行機を操縦するという夢を叶える方法を知った。

僕は視力が悪いから、商業飛行が可能な航空機操縦免許を取得することは叶わないだろう。けれども必要な費用さえ払えば、自分の手で飛行機を操縦することができる。それが小型飛行機であっても。そして今の自分ならそれができる。フィリピン・セブに行けば。

僕は仕事の休みを調整し、セブへ飛んだ。

セブはフィリピンの中でもビーチリゾートが多い地域として有名で、世界中から多くの観光客が美しいビーチやダイビングスポットを求めて訪れる。多くのビーチは、セブから少し沖合にあるマクタン島に集中している。僕は休養も兼ねて、マクタン島にあるプライベートビーチを保有するリゾートホテルに宿泊した。

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僕が申し込んだのは、CEBUTOPという、小型飛行機による遊覧飛行や操縦体験を提供するサービスである。スタッフが日本人というのもポイントが高かった。安心して申し込むことができる。

www.cebutop.jp

体験当日、ホテルから送迎車に乗り、セブの玄関口であるマクタン・セブ国際空港に向かう。滑走路の片隅の敷地内を通行するのも初めてのことで、少々テンションが上がる。

空港の片隅に事務所があり、そこに案内される。飲酒していないこと、インストラクターの指示に従うことなどの誓約書にサインし、料金12500ペソ(30,000円弱)を支払い、申込みを完了する。

申込みが完了したらすぐに操縦体験が始まる。機体は、小型飛行機の中ではベストセラーのセスナ172型機である。

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まずは操縦席に乗り込み、シートの調整をした後、レバーや計器の説明を受ける。主に確認しなければいけないのは、速度計、高度計、エンジンの回転数などだ。速度計はノット(1ノット=時速1.852km)、高度計はフィート(1フィート=0.3m)で表示されているので、いまいち感覚が分かりづらい。エンジンスロットルは、押すと回転数が上昇し、引くとその逆になる。

続いて機体の操作方法の説明を受ける。操作するのは手元にある操縦桿と、足元にあるフットペダルである。僕は身長が低いので、シートを最前にしてもフットペダルにぎりぎり足が届くくらいだ。操縦桿は、手前に引くと上昇、奥に押すと下降。これらの動きは尾翼のエレベータ(昇降舵)につながっている。操縦桿を左右に動かすと、主翼外縁のエルロン(補助翼)と連動し、機体はその方向に旋回する。フットペダルは垂直尾翼の方向舵と連動し、ペダルを押した方に旋回する。

飛行機の地上走行は難しい

インストラクター「じゃあ早速飛びますね、シートベルトをして、ヘッドホンとマイクをつけてください」

僕「はい、よろしくお願いします!」

僕の心の声(え、ちょっとまってもう飛ぶの、もうちょっと心の準備が、その、あの、えーと、うわああああばばbくぁwせdrftgyふじこlp)

という感じで心の準備もまともにできないまま、早速操縦体験が始まる。

エンジンがかかった。機体が振動で揺れる。最初にタクシングから練習する。地上走行時はラダーペダルで機体を制御する。操縦桿を使うのは飛行時のみなのだ。誘導路の黄色い線に従うようにフットペダルを操作するが、まっすぐに進まない。右にいきすぎたので左のフットペダルを踏むが、ちょうどよく戻そうとする頃にはすでに左に行きすぎているのであった。間違えて操縦桿でコントロールしようしてしまい、そうじゃないと注意される。操縦桿がまるで自動車のハンドルのように思えるのだが、それとは感覚が違うのだ。

管制塔から指令があったようで、誘導路横のスポットに入って一旦停止する。数分後、さっきまで僕が右往左往していた誘導路を、小型の飛行機が通り過ぎていった。本物の飛行機が行き交う場所に僕はいるのだ。ちょっと間違えたら大事故になる。僕はいよいよ覚悟を決めた。

右に左に悪戦苦闘しながら、僕が操縦するセスナは滑走路を目指す。滑走路の手前で待機する(という管制塔の指示があったようだ、僕には交信は聞き取れなかった)。手前と言っても100mくらいあると思うが。待機していると、目の前をセブ・パシフィック航空のエアバスA320旅客機が猛スピードで滑走路に着陸していった

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距離感は本当にこんな感じで、間近である。なお、この写真は送迎車から撮影したもので、体験中のものではない。

とにかく、僕はこれから、フィリピン最大級の国際空港の本物の滑走路から離陸するのだ。これはとんでもないことだ。事故を起こしたらきっとニュースになる。悪い意味で僕は有名人になってしまう。空港も何時間か閉鎖されて、何万もの人に迷惑がかかる。僕のせいで国際問題になったらどうしよう

不安、緊張、楽しさ、恐怖よりも、何とか機体を確実に制御しようという集中力が高まるのが自分でもわかる。

A320をやり過ごすと、のそのそとセスナは滑走路に入り、一旦停止する。いよいよその時だ。管制塔から離陸許可がおりた(ようだ)。

自分の操縦で飛行機を離陸させる

操縦手順:スロットル最大、時速50ノット(90km/hくらい)で操縦桿を引き離陸、上昇角度25度で高度5000フィート(1600mくらい)まで上昇させる、速度は時速75ノットを維持。

フットペダルを全力で踏み、スロットルを押し込んで最大にする。エンジンとプロペラの音が轟々と響く。機体が前進しようとぶるんぶるんと震える。

インストラクターからの合図があり、フットペダルを離す。機体は右に左に揺れながら加速する。なかなかまっすぐ進まない。

速度計は時速50ノットを超える。インストラクターからの合図があって、それにあわせて操縦桿を引く。一瞬の間をおいて、機体は浮かび上がった。

ふわりと重力がなくなったかのような感覚があり、一瞬恐怖を感じる。操縦桿は引いたまま、戻してはいけない。戻したら墜落するであろうことはなぜか感覚でわかっていた。

僕の視界には空しか見えなかった。ちらと右に目をやると、空港の滑走路が一気に遠くなってゆく。この瞬間、20年も夢に見た瞬間だった。僕は自らの操縦で、大空を飛んだのだ

空中の操縦のほうが簡単かもしれない

操縦桿を少し戻し、角度を緩やかにしながら上昇を続ける。2000フィートくらいまで上昇したところで、左右に旋回する練習が始まった。操縦桿を引きつつ、徐々に機体を傾けて旋回する。眼下に見える小さな島を目標に右旋回するが、行き過ぎたり、足りなかったりするのでここでも右往左往する。

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旋回中は高度が下がる。それを立て直そうと操縦桿を引くと、今度は機首が上向いてしまい目標の島を見失う。何とか機首を小島に向けることができた。まだ機体は上昇する。エンジンカバーのラインと水平線・地平線のラインを平行にして、機体が左右に振れていないか確認する。目標さえ定まってしまえば、あとは割と気楽なものである。

目的地は、空港から南東100kmほどのところにあるボホール島上空である。途中はほとんど海だが、サンゴの環礁に、ビーチの名所が点在する。

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20分ほど飛行すると、ボホール島上空に到達する。その瞬間機体が大きく揺れた。地上では海上と異なり気流が地形によって複雑に変化するため、機体が揺れやすいということだった。なるほど、空気の塊というのはすごい力を持っている。

ボホール島は、チョコレートヒルズという、石灰岩の岩塊が盛り上がっている地形が有名で、操縦している間にもよく見える。

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ボホール島を右旋回し、空港へ戻るルートを取る。

インストラクターが急降下と急上昇をしてくれるという。ジェットコースターが好きな僕はそれをやってもらうことにした。

右に左に上に下に、機体は動いた。35度傾斜でだいぶ傾いている感じ、60度傾斜では天と地がひっくり返っている感じになる。身体にかかるGは、旋回60度傾斜だと2Gくらいということらしい。急上昇はともかく、急降下は海面が目の前に迫ってくるようで恐怖を感じる。

ところで、僕は太平洋戦争を戦ったパイロットのことを想起する。例えば急降下爆撃を行う場合、50~60度の角度で目標に突撃する。つまり僕が先程体験した角度であるが、急降下時の時速500km、高度600mで投弾・急上昇の機動とする場合、爆弾を投下してから4秒以内に海面に激突する計算になる。この急上昇のタイミングが少しでも遅れれば、パイロットの命はない。おそらく僕は、往時の急降下爆撃を試みたパイロットと同じ景色を見ることができたのだ。僕は軟弱者だから、そういう意味では角度60度など、恐怖しか感じない。

そして戦闘機のパイロットたち。彼らもまた空中戦において、このような傾斜や急降下、急上昇をやってのけつつ、銃弾を米粒のような敵機に命中させ、自身は安全に退避するということをやってのけたのだ。

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着陸するまでが体験操縦

そんなことを考えつつ、操縦は僕の番となる。無事に空港に着陸するまでが体験操縦だ。高度6000フィートから徐々に1000フィートまで降下し、空港の滑走路に合わせて右に旋回、あとは誘導灯に従い降下角度を調整する。

いよいよ滑走路に進入する。滑走路の中心に機首を合わせ、進入角指示灯が適正に(赤赤白白の灯火)なるよう調整する。が、なかなかうまく行かない。滑走路はどんどん近づいてくる。高度もとっくに1000フィートを切っている。

機首下げと機首上げを繰り返す。失敗したらどうなるのか。機体は横転してしまうのか。プロペラを破損してしまうのか、そうしたくない恐怖が操縦桿を引かせる。まだ着陸できない。意を決して操縦桿を押す。

どん、と衝撃を受けて、機体が振動し始めたのを感じた。一瞬の後に、着陸には成功したのだということを理解した。無事飛行を終えたということに、僕はこの上ない達成感と満足感を覚えた。

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帰り際に撮影した、フィリピン空軍のC-130ハーキュリーズ輸送機と思われる機体。

というわけで、フィリピン・セブのアクティビティの中で、全力で勧めたいのがこの飛行機操縦体験である。恐怖を超えた先にある感動は、そう簡単に代えられるものではない。

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僕にとっては本当に素敵な一日だった。一生のうちでやりたいことリストの筆頭であった、自分の操縦で飛行機を飛ばすということができたのだから。

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