非モテ恋愛弱者のブログ

旧「非モテ系のままで生きていくブログ」から、恋愛弱者男性ブログに進化しました。レベル36の限界中年/異常独身/非モテのブログ。もう人生折り返しました。残りの人生を頑張らないで生きていこうと思います。なおこのブログには、モテる方法は1つも書いていません。

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愛猫が縦隔型悪性リンパ腫を発症した!COPプロトコールの効果と費用は?

僕のかわいいキジトラ猫が、不幸にも1歳にもならないのに縦隔型リンパ腫にかかり、抗がん剤治療(COPプロトコール)を開始したことは以下のエントリに記載したとおりである。

junny-policies.hatenablog.com

さて、このエントリでは、猫の縦隔型リンパ腫に有力な対処法の1つであるCOPプロトコールの概要と、それにかかった費用について、僕の経験と、僕が動物病院の先生から受けた説明をまとめて、おそらく本エントリを読まれているであろう心優しい飼い主様のお役に立ちたいと思う。

猫の縦隔型リンパ腫とは?

猫にとってリンパ腫はごく一般的な病疾患の1つで、胸腺(縦隔または胸部)、消化器、多中心などの分類がある。リンパ腫は、体中の免疫を司るリンパ球及びリンパ腺が腫瘍化したものだが、僕のキジトラは縦隔型リンパ腫と診断された。この病気は胸腺という、胸部にある大きなリンパ腺が腫瘍化したもので、それが肥大し心臓と肺、気管、食道を圧迫し、呼吸困難と食欲不振を引き起こしていた。

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入院当日のキジトラのレントゲン写真。赤い部分が肺及び気管の呼吸器系、青い部分は心臓、黄色い部分がリンパ腫である。本来心臓、肺ともに肋骨の中に収まっているべきだが、リンパ腫によって押しやられてしまっており、また気道と食道が圧迫され狭くなってしまっている。

白血病ウイルス(FeLV)とリンパ腫の関係

縦隔型リンパ腫に限らず、猫のリンパ腫は、猫白血病ウイルスが陽性の猫にとって発病率が高くなる。そのためもし生後6ヶ月以上経過しているのなら、白血病ウイルス(FeLV)の血液検査をぜひとも受けるべきである。

陰性なら猫白血病ウイルスワクチンを含んだ4種ワクチンの接種、陽性であれば近い将来のリンパ腫の発病を覚悟しておかなければならない。FeLVの検査はどこの動物病院でも対応可能で、上記の4種ワクチンと合わせて1万2千円くらいである。4種ワクチンを投与した場合、その1ヶ月後にもう一度ワクチン接種をする必要があり、その分の費用も別途必要である。

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キジトラの兄弟猫であるキジシロのFeLV検査結果。キジシロのFeLVは陰性だった。FeLVは野良の母猫から感染する場合があるが、免疫機能が強い場合、FeLVが陰性になる(陰転)することもあるらしい。

またFeLVが陽性の猫の場合、それが2~3歳までの若い猫であった場合、FeLVが原因となってリンパ腫を発症する場合が多い。僕のキジトラは1歳にも満たない若い猫だったが、縦隔型リンパ腫を発症した。キジトラのFeLVは強い陽性(検査キットの青いインジケータが、黒に近いほど濃い青)を示したのだった。

縦隔型リンパ腫と余命

動物病院の先生によると、猫の縦隔型リンパ腫の余命については、以下の通りである。

  • 化学療法に反応して完全寛解を得た猫の生存期間の中央値…7ヶ月
  • 部分寛解を得た猫の平均生存期間…2.5ヶ月
  • 化学療法に無反応の猫の平均生存期間…1.5ヶ月

完全寛解を得た猫の生存期間の中央値となっている部分に注目されたい。中央値の場合、統計を取った中の最大値と最小値の中間値を意味する。最小値が0ヶ月だとすると最大値は14ヶ月、仮に最小値が3ヶ月だとすると最大値は11ヶ月となる。また先程のFeLVが陽性か陰性かによって余命も異なる。

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僕のキジトラについては、ステージⅤであり、FeLVも陽性であった。ステージが高い、またFeLVが陽性であれば、余命は短くなる。僕のキジトラの場合は、おそらく化学療法を行ったとしても、その効果としては余命が数ヶ月伸びる程度にとどまる。

抗がん剤プログラム「COPプロトコール」とは

腫瘍が切除できない部分にある場合は、外科手術による摘出ではなく、抗がん剤の投与による治療を行い、内部からがん細胞を駆逐する方法がとられる。

一般的に抗がん剤は、がん細胞を識別して破壊するのではなく、分裂中の細胞を識別して破壊する薬である。縦隔型リンパ腫に限らず、がん細胞というのは無限に増殖(=分裂)を繰り返すため、その細胞分裂速度と回数は凄まじい。そのため進行速度が速い(=分裂が活発な)腫瘍に対して効果が期待できる。一方で骨髄のように血液細胞や白血球などの免疫細胞を絶えず供給(=分裂)している組織や、腸などの消化器官の上皮細胞も破壊するため、そのために免疫力が低下したり、食欲が低下したりするという副作用が見られる。それらの副作用を考慮し、それなりに歴史があり、縦隔型リンパ腫に有効な抗がん剤プログラムとされているのが、COPプロトコールである。猫に対しては比較的副作用の程度が低く、また他の治療法と比較して安価であるという長所がある。

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詳細は以下の薬剤の説明にも記載するが、基本的に副作用は骨髄、腸、膀胱が考えられる。また各薬剤ともに骨髄抑制が発生するため、免疫低下が懸念されることから、感染症予防のために抗生剤とともに処方されるのが一般的である。

なおCOPとは、C=サイクロフォスファミド(シクロフォスファミド)O=オンコビン(ビンクリスチン)P=プレドニゾロンという、それぞれの抗がん剤及びステロイド剤の頭文字をとったものである。

サイクロフォスファミド(シクロフォスファミド)

サイクロフォスファミド、サイクロフォスファマイド、シクロフォスファミド、などの表記ゆれがある。

副作用は、骨髄抑制、食欲不振、出血性膀胱炎など。

点滴により投薬される。

「エンドキサン」という商品名で知られているが、COPプロトコール上では、薬品名である「サイクロフォスファミド」の頭文字をとる。

抗がん剤としては有用であるが、毒性が強く、人間に対しての発がん性が認められている。その毒性ゆえに、例えば多頭飼いをしている場合は、サイクロフォスファミドが排泄によって代謝される2~3日の間は、当該の猫を隔離しておく必要がある。特に大便の排泄により代謝されるが、その場合人間は大便に触れてはならない。我が家では隔離部屋をもうけ、またトイレはサイクロフォスファミド投薬日専用とし、排泄物を処理する場合はマスクとゴム手袋を着用して対応したのである。

また上記の通り出血性膀胱炎の副作用があるため、投薬後2~3日は小便に血液が混じっていないか確認する必要がある。

オンコビン(ビンクリスチン)

COPプロトコールにおいて主役となる抗がん剤。静脈注射により投薬される。

副作用は、嘔吐(機能性イレウス=腸の機能低下による消化不良)、食欲減退、骨髄抑制、(静脈注射失敗時の)血管外漏出など。

オンコビン」は商品名。薬品名としては「ビンクリスチン」と呼ばれるが、オンコビンの呼称のほうが一般的か。

プレドニゾロン

副腎皮質ステロイドの1つ。リンパ腫への攻撃のほか、食欲の回復、炎症の鎮静を行う。経口により投薬される。

副作用は高血糖、糖尿病、免疫低下による感染等。

COPプロトコールでは、血液検査によって白血球の増減数を見ながら、これらの薬剤を1~4週目、その後3週間毎に投薬し、寛解または部分寛解を目指すのである。

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4週目時点のキジトラのレントゲン写真の比較。左側が4週目、右側がCOPプロトコールを始める前の状態。黄色い部分のリンパ腫の影が縮小し、心臓の周囲のみに残る。その分肺と気管の圧迫も緩和され、黒い部分=空気を含む体積が大きくなり、呼吸が大変楽になっている。COPプロトコールで反応があったと判定される。

COPプロトコールの費用は?

上記の通りキジトラには効果が見られたCOPプロトコール

リンパ腫との闘病生活においては、猫の体力ももちろんだが、飼い主の気力・精神力も必要である。また元気になって一緒に遊んだりモフモフしたりしようという並々ならぬ決意が必要である。そしてそれは、多くの場合、飼い主の経済的事情を悪化させてしまうだろう。COPプロトコールは比較的安価であるとはいえ、やはりそれなりの費用がかかることは覚悟しなければならない。

参考までに、以下は、キジトラの発病から僕がこれまでに支払った処置及び抗がん剤プロトコールに関する支払い金額の一覧である。

4月7日:応急処置

26,330円
内訳:胸水除去、血液検査(生化学検査、ウイルス検査、電解質検査)、レントゲン等

4月14日:COPプロトコール1週目

40,060円
内訳:入院、酸素室、静脈点滴、静脈カテーテル、血液検査、病理検査、ビンクリスチン、シクロフォスファミド、プレドニゾロン

4月21日:COPプロトコール2週目

7,750円
内訳:静脈点滴、血液検査、ビンクリスチン、プレドニゾロン

4月28日:COPプロトコール3週目

16,390円
内訳:静脈カテーテル、血液検査、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン

5月6日:COPプロトコール4週目

18,320円
内訳:静脈カテーテル、静脈点滴、血液検査、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン、レントゲン等

5月26日:COPプロトコール7週目

25,610円
内訳:静脈カテーテル、静脈点滴、血液検査、シクロフォスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン、レントゲン等

COPプロトコール7週目までで、応急処置も合わせて134,010円。COPプロトコールのみで計算しても107,680円である。安いと言える費用ではないことがわかるだろう。見殺しにでもしない限り、どうしても費用はかかってしまうものなので、このようなことにならないうちにペット保険に入っておこう。発症してしまったものは仕方ないにしても、僕にとって運が悪いことに、キジトラはペット保険に入る前に発症してしまったので、費用はそのまま僕の財布を直撃したのである。収入が決して多くない僕は今、趣味である旅行やゴルフを一切断った上で闘病生活に臨んでいるのだ。

幸いにして今、キジトラは気持ちよさそうに丸くなって寝ている。猫じゃらしでも積極的に遊んでくれる。どんなに頑張っても、おそらく別れの日は近いであろうことを知っていても、僕はキジトラがいる日常を大事にしていきたい。

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