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とある底辺喪男の社会評論

現代社会の様々な問題点や、政治、経済、金融、教育のあらゆる社会的分野について、好き勝手に評論する若干意識高めのブログです。ただし、論者は底辺喪男です。

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インドネシア、既存鉄道の高速化を日本に要請(高速鉄道とは言ってない)

www.sankei.com

インドネシア高速鉄道に関するニュースは、先日に首都ジャカルタ高原都市バンドン間の高速鉄道について中国が受注したことがニュースになった。今回はインドネシアのジョコ大統領が正式に決めたということであるが、その他のニュース記事によると、まだ閣議決定はされてないようで、確定ではないようである。

www.sankeibiz.jp

一筆付しておくならば、インドネシアにとって高速鉄道の整備の援助の担い手は、中国と日本どちらでもよかったということだ。ビジネス的に(実際にどうであったかは別にして)中国の提案がインドネシアにとって最良と思われたから、ジャカルタ~バンドン間の建設は中国が受注したのであって、親中反日みたいなイデオロギー的な何かによって決められたことではないということだ。その時日本が、インドネシアにとって魅力的な提案ができなかったのが問題であり、あるいは中国が提案・受注した内容で工事を進めないのが問題なのだ。ヤフーニュースのコメントや「海外の反応」などのネトウヨ系ブログで指摘されるような「インドネシア反日」とかいう指摘は当たらない。

ジャカルタ~スラバヤ間750kmのジャワ島横断鉄道

さて、スラバヤは人口280万人を抱えるインドネシア第2の都市で、首都ジャカルタからの距離は750kmである。東京から数えると、東京~広島間より少々短いくらいだ。この距離を5時間で走破する高速鉄道ということなので、おそらく高規格の新幹線のような鉄道が整備されることになるのだろう。ジャワ島の北部を横断するルートを通り、ちょうど中間には、人口160万人を抱える大都市のスマランがある。こちらもインドネシア5大都市の1つだ。以下はインドネシア高速鉄道計画の地理概要である。

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インドネシア高速鉄道計画 - Wikipedia

新規敷設でなく既存改良、高速鉄道でなく高速化

今回が前回と異なるのは、「ジャカルタ~バンドン間」は新規敷設の鉄道だったのに対し、「ジャカルタ~スラバヤ間」は既存鉄道の改良という点だ。首都ジャカルタから人口30万人程度の地方都市チルボン、そしてスマラン、スラバヤまでほぼ一直線に東進する既存の鉄道が敷設されている(バンドン方面へは途中で南進する)が、これを高速化しようという計画である。単純に見るならば、あくまで既存鉄道の改良であるから、「ジャカルタ~バンドン間」の高速鉄道のことは無関係ということでよいのだろうか。高速化と高速鉄道というのは異なる意味であるらしい。上の記事も、見出しは「高速鉄道」だが、記事本文は「既存鉄道の高速化」と書いている。東海道新幹線に対する東海道本線の高速化改良のようなものだろう。

僕が思うに、おそらく「高速化」を要請している範囲であれば、一般的な在来線の改良という意味合いで受けて差し支えないし、日本としても(援助でもよいが基本的には対価を得た上で)受注してもよいであろう。しかし、高速鉄道」を要請した場合は、これは明らかにインドネシアのブラフであるから、取り合わないでよろしい。2つの国の高速鉄道運行システムが共存することはコスト増を招くからであり、現実的でないからである。

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新幹線は、日本が世界に誇る高速鉄道システムだ

そもそも高速鉄道というのは、線路を敷いて車両を製造して終了・あとはよろしく、というものではない。線路や橋脚、トンネルなどの構造物の保守、閉塞方式や信号を含めた運行システム、車両メンテナンス技術などの技術全般を提供するのが海外への鉄道輸出である。そのコストは莫大なものであるので、運行システムは1つに集約するのが望ましい。よって、既に「ジャカルタ~バンドン間」が中国の高速鉄道敷設で決着がついているのだから、高速鉄道については中国に任せて日本はノータッチ、のスタンスで差し支えない。フェーズ2で定められている「バンドン~スラバヤ間」の高速鉄道も中国のものだ。仮に「ジャカルタ~スラバヤ間」も高速鉄道が敷設されるということであれば、「ジャカルタ~バンドン間」は中国の運行システムが、「ジャカルタ~スラバヤ間」は日本の運行システムが稼働することになる。そうだとすると、上図における「バンドン~チルボン間」はどこの国の運行システムになるのだろうか。

親日だから受注できるとは限らない 

条件反射的というか短絡的というか浅薄というか、このニュースを聞いた途端に、「インドネシアは信用できない」だの「中国に作ってもらえ」だの、大してニュースを吟味もしないで発言する連中が多すぎる。上述したとおり、(少なくとも今の段階では)中国が新規敷設中の高速鉄道とは無関係の既存鉄道の改良事業であるのだ。「インドネシアは信用できない」のはその通りといえばその通りだが、鉄道輸出事業のような国家間ビジネスというのはおつきあいとか馴れ合いで決められるものではない。国是が親日だろうが反日だろうが、その国にとって最もリスクが少なくリターンの大きい提案が受け入れられるだけのことである。「インドネシアは信用できない」とか言っている連中は、インドネシアに対して勝手に「インドネシア親日」というイメージをくくりつけ信用し、中国が高速鉄道を受注したことについてはインドネシアの裏切りと認識している。ましてや「中国に作ってもらえ」というのは、高速鉄道のみならず、在来線を再構築するビジネスチャンスを中国に明け渡すことにもなる。

(一応)大国の矮小な傲慢さは、ここに極まれり。インドネシア親日かもしれないが、それが高速鉄道受注に結びつくかどうかは全く判断材料にならないのだ。

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